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都市型スポーツイベントのいま(TDFさいたまクリテリウム観戦)


ツール・ド・フランス・さいたまクリテリウムという自転車ロードレースイベントを観戦してきました。夏にフランスで行われている開催100回を超える世界的レースで活躍した選手たちを集めて行われる大イベント。埼玉県が全面的に協力して今回既に5回目。レースの内容はどこか専門メディアで見ていただくとして。

主催者側とのご縁があり、ほぼどこにでも入れる「魔法のパス」をいただいたので、最もコントロールが難しいとされる都市型スポーツイベントの裏側を探・・・れるわけもなく。ささやかなイベント主催者のひとりとして、参考にしたい部分をじっくり見てきました。

会場となったさいたま新都心駅前は、 イベント一色の装い。駅の改札を出てから会場までもほんの数分。自転車に関心のない人でもふらっと立ち寄れる立地なので、意外な出会いもあるでしょうね、羨ましい。

電柱や街灯柱にコースマーカー。 徐々に気分が盛り上がります。

警官および警備会社の方、誘導のスタッフは、数m、数十mおきにこれでもかってくらい配置されてました。潤沢な予算が羨ましい・・・。

フィニッシュライン近くには高所作業車で周囲を警戒する警官の姿。上空には空撮用ヘリが旋回しています。潤沢な予算・・・

ごくふつうの街なかの公道を、1周3kmの周回コースにつくりかえて。グランドスタンドやメインイベントステージ設営はもちろんですが、観客の飛び出し防止および選手の安全対策にぐるりとフェンスやクッションマットを。とんでもなくかかるであろう手間とお金を想像するだけでいやな汗が(>_<;; 自動車レースF1の電気自動車版「フォーミュラーE」もこのように市街地をコースにしてしまいます。モータースポーツの静音化によってこうした風景がよく見られるようになるかもしれません。大勢の目に触れる場所での開催はイベントやホビーの認知には欠かせませんね。

メインスポンサーJ:comが提供する会場内WiFi。グレードの高いチケットの持ち主だけがアクセスできるのですが、イベント情報をリアルタイムで拡散するにはいまや欠かせないインフラ。個人的な印象では、スマートフォンやタブレットで熱心に投稿しているとみられる人々は、無料観戦スペースに陣取っている方々のほう。WiFi環境が整えられているプレミアムチケットの皆様は、コース脇の特別観覧席でワイン片手に歓談を楽しんだりゆったり観戦されているふうでした。

熱狂的ファンのためにチケットには数段階のグレードが設定されています。観戦場所が優先的に割り当てられていたり、無料ラウンジでの無制限の飲食(美味しかった!!)、豪華なお土産、参加選手と触れ合う場など特別な体験が複数用意。もちろんサポーターとしてイベント収益にも寄与しているとか。

TDF(ツール・ド・フランス)本体の主催者はフランスの巨大メディア企業体ASO。ご存じの方も多いと思いますが、かのダカールラリーと同じ主催団体です。 日本のイベント会社に丸投げと思いきや、TDFでおなじみのコアスタッフ(ブルーのシャツにタンカラーのスラックス)があそこにもここにも大勢。仮にもTDFの名を冠する以上、クオリティをしっかり担保するためでしょうね。このエリアはさすがに立ち入りできませんでしたが、地域自治体の首長や政治家の皆様がずらり。かなり皆さん興味深くいろいろ質問されている様子でした。ここだけスーツ率がかなり高いです(^^;; ちなみに女性の議員(?)さんのほうがわりとフェンス際で熱心に観戦されているようでしたね。

なにしろ目の前数センチを世界最高峰のレーサーたちがものすごい勢いで駆け抜けていくのです。しかもものすごく静か。「レースっていうからうるさいかと思ってた!!」という議員さんの言葉が印象的でした。フィニッシュで飛び込んでくる選手の荒々しい息遣いといい、迫力満点です。大音響の排気音がなければレースっぽくないって、それは勘違いだと思いますよ。

レースカテゴリごとのインターバルには、地元高校生によるダンス披露も。ローカルとのつながりって大事ですよね。ハンディキャップレーサーによる競技も行われましたが、まるで健常者との差異を感じさせないダイナミックな走りで、機材スポーツの利点が遺憾なく発揮されています。ちなみにこのニュービートルはレース先導車でもあるのですが、VIPの方々を乗せて周回。1周して戻るとまた別の方を乗せてダッシュ。スポンサーに現場を体験していただくこうしたサービスも大事なんですよね。

自転車ロードレースの裏方の華は集団をチェイスし、超至近距離からの映像を届けてくれるカメラモト。ライダーはもちろんカメラマンにも特別の資格が必要なのだと聞いてましたが、車両もカスタムが施された本場のものをそのまま持ってきているよう。テレビ中継ではBMWのGSをよく見るのですが、こちらはSUZUKIのV-Storm!!これは珍しい! クローズドコースですからEUナンバーのままですが、ちゃんと日本の自賠責に加入してましたよ。

TDFの協賛二輪車はカワサキ。メーカースタッフもスタンバイ。250クラスを中心に先導車やクリアランスチェック用に数台提供されていました。自転車イベントですが、猛スピードで周回コースを疾走するバイクを見て、観客の若い女性たちが「バイクかっこいい!!」「免許取りたいけどね〜」とキャッキャしていたのが印象的でした。オートバイの露出がいかに都市部で少ないか、そんなようなことをふと。

クリテリウム会場隣で併催されているサイクルフェスタでは、トークショーやメンテナンス指南などなど来場者を飽きさせないさまざまな催し物が。まさに「なんか面白そうだから入ってみた」という声をあちこちで聞きました。こちらの入場は無料。プレミアムチケットのエリアとははっきり区別されています。快晴に恵まれてよかったですね。

販売・展示ブースもたくさん。ものすごい人混みです。 昨年は1日で20万人の来場者があったとか。同日に幕張で国内最大の自転車展示試乗会サイクルモードも開催されているというのにこの盛況。ちなみに今年のF1日本グランプリが3日間延べ数で13万人・・・。

自転車メーカーだけではなく・・・

地方自治体のPRスペースもたくさんありました。別イベントでご縁ができた、新潟県三条市のブース。工具が有名なんですよ。チラ見したところニッパーかプライヤーのような挟み系のツールが展示されていました。一周して戻ってこようと思っていたら、このあと人が増えすぎてたどり着けませんでした。

安全教室や子供のためのオフロード体験ミニコースも用意されていました。家族連れも多かったので大人気でしたよ。 こういうのいいなあ。

ちょっとグレードの高いエリア内なら、世界的な選手が目の前に! 気軽にサインやツーショットに応じてくれました。かくいう私もスーパースターとのツーショットやサインをいただき大感激。

あの選手やこの選手が目の前に・・・

サーキットでいえばパドックウォークのようなエリアも設けられています。左手のテントは各選手のウエイティングスペースなのですが、隔絶させている感じではなくわりとオープン。有名選手がここでも気軽にサインや写真撮影に応じてくれました。 なんだかんだいってサイクルレースはまだまだメジャーとは言い切れない部分も多々あるので、世界の頂点に位置するような選手でも競技の普及や認知に積極的な印象です。そもそもこのイベント自体が、普及促進のためのワールドツアーのひとつでもあるのです。

自走で会場に訪れるサイクリストもかなり大勢いて、駐輪スペースのサイクルラックには3桁万円はザラにする高級車が鈴なりにぶら下がり。整理にあたるスタッフが潤沢なこともあり、総じて駐輪マナーはかなりいいほうだと感じました。

おまけ。個人的に目についたのが「オートバイ系のウエア」を身に着けた来場者をそこここで多く見かけたこと。小さな子供の手を引く家族連れや若い男女、あるいは年配の方も大勢いました。

この投稿を書く前は「オートバイイベントに欠けていること」をテーマに幾つかの提言を行おうと思ってました。が、そういうのはそれぞれで感じてもらえればいいこと。すこし目線の異なるところから、モータースポーツをあらためて考えるきっかけになればいいと思っています。


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