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© 2010-2019 Project Doors

【秋・八ヶ岳】被災の町へ。そしてリスタート。

24.10.2019

| Por

台風19号の強大さは、接近中の段階から脅威に感じていました。本州上陸の晩には、秋開催の拠点にほど近い場所に住む友人から「尋常ではない雨が降っている」と連絡までありました。

 

10/12の夜が明けてから徐々に明らかになっていく被害の大きさと深刻さは、既にみなさんが御存知の通り。この段階で10/19-29の開催は断念せざるを得ないと半ば覚悟を決めてもいました。最終的な判断材料にするためにも現地調査に赴きたいところでしたが、中央高速と国道20号は寸断状態。そのほか通行可能な経路と現地は災害支援の車両で大変な混乱に陥っている様子です。DOAの開催までは既に一週間を切っています。強行するのかやめるのか。しかし緊急に招集したスタッフの意見と数少ないながらも漏れ伝わってくる現地の状況から、こんな危険な現場へ多くの人々を送り込む愚は冒せない、そんな思いは時間が経つにつれ強くなっていくばかりでした。発注済みの資材や依頼した人や準備の損失、キャンセルの発生等々。正直なところ、それらのマイナスを考えると胃に重いものが沈み来るような暗然たる思いに陥りました。しかし動いているすべてのことを止めるのはいましかないと各所に連絡、リリースを発行。それが10/14のことでした。

さらに2日ほどが経ち、台風通過後の大混乱がやや落ち着いた頃。一般車も東名高速や一般道などを経由して大きく迂回しながらも山梨や長野方面にアクセスできるようになったことを聞き、取るものもとりあえず、設定しているDOAのルートを確認しに行くことにしました。通常甲州街道を使用するようなすべての車両と、大動脈たる東名の交通が集中していたためとんでもない大渋滞で、都内からはじつに6時間超の長旅。その行程で前後の車両はほぼずっと同じ顔ぶれのままという有様でした。それでもなんとか件の友人宅に到着し、挨拶もそこそこにセローで走り出しました。最終試走はGSでと考えていましたが、それが無謀な考えだったというのはすぐにわかりました。
 

台風一過の清々しい青空。拠点から国道を走るぶんには、沿道の様子は普段とまるで変わりはなく、やや工事車両が多いかなぐらいの印象でした。さらに国道からアクセスする最初のダートには台風の痕跡はまったくなく、心配は杞憂だったのではないかとの思いが一瞬頭をよぎりました。

様相が一変したのは標高の高い場所にある大きな山を越えて「向こう側」へ降りた瞬間です。
 

まるで舗装路のように整備されていたフラットダートが、見る影もなく大量の土砂によって埋め尽くされていました。しかしそれでもこの程度ならなんとか実行可能かも、と乗り越えていくうち

 

道は完全に塞がれてしまいました。時折山の上から大きな岩や巨大な樹木が音を立てて落ちてきます。こんな危険なところ、とてもエントラントを通すわけにはいきません。
 

やがて道は完全に崩落してしまい、わずか数センチほど路肩に残ったギリギリな部分を辿るも
 

それも不可能なほど道が落ちてしまっている箇所に。もうトラタイヤとセローの威力で山の中を大きく迂回して崩落現場の向こう側へ出るしかなくなりました。GSではまず通過不可能だったのでセローにしておいてよかったです。おわかりでしょうか、赤円の中

 

 大型の重機が押し流され逆さまになったうえ、半分以上も土砂に埋まっています。水流の威力とおそろしさが伺い知れます。

 

風雨の被害は渦の東西や遮蔽物のあるなしでも大きく変わるようですが、同じような県内エリアの山のこちら側とあちら側ではこんなにも違いが出るとは驚きでした。とにかくこの林道は数年単位で通行不可能でしょう。もしかしたら、ずっとこのままかもしれません。


そして通過する町のいくつかもまた、ひどい状況でした。

 

漂流物に欄干が破壊され、用水路は土砂で埋まったまま。

 

川沿いの町では、氾濫した水や泥に腰まで浸かりながら地元の方や自衛隊が復旧作業を行なっている場面に出くわしました。傍らでは押し潰されてしまった家屋の下をライトで照らしながら捜索を行っている自衛隊員を、心配そうに見つめるおそらく家族が。その光景にとてもカメラを向ける気持ちにはなれませんでした。

 

橋脚の土台が崩れてガタガタになったルート予定だった橋を呆然と眺めていると、「わざわざ遊びに来てくれたのに申し訳ないね」ひと休みしていた年配の作業員の方が声をかけてくれました。申し訳ないのはこちらのほうでと、大勢で近々ここに来る予定だったこと、延期を決めたけどこんな大変なときにここに来ていいものかショックを受けたこと、そして、もしかすると災害の起きた当日に来ていたかもしれないということを問わず語りに話してました。

 

台風の日はもう本当に駄目かと思った、あっというまに川の水が家の中に入ってきてね。そんなふうに当日のことをその方はポツポツと話してくれました。生きるか死ぬかって他人が苦しんでいるところにまさかバイクで遊びに行こうなんて人もいないでしょ、と笑ったあと「もしそんなヤツがいたらきっと袋叩きにしたろうけどね」と、そのときはすこし怖い顔と声色でいったあと「今日明日にでも泥は片付くから、そしたら気にせずぜひまた遊びに来てほしい」とまた作業に戻っていきました。

 

現地滞在中の後日、また近くを通ると堤防の縁まで積み上がっていた泥はきれいに片付いており、道路も通行できるようになっていました。乾いた泥がホコリとなって舞い上がり、復旧工事の槌音が青空に響いてました。

 

道中のあちらこちらでニュースでは伝わってこない被害の大きさに遭遇し驚きましたが、その反面、復旧のスピードの早さにも驚かされました。

 

現地滞在中には迂回路を探すために寸断された地点を何度も通りましたが、はじめて通ったとき林道を埋め尽くしていた数え切れないほどの倒木が

 

 再び訪れたときは切り刻まれた丸太が道の片隅にあるだけ。こんな山奥なのに、という場所です。

 

 ウォッシュアウトの深い溝が、それ以前よりもきれいに整えられていたり。

 

むしろ舗装道路のほうがこんなふうにずっとダート化していて要注意かもしれません。

 

DOAの予定ルートはこうしたケースに代表されるように、序盤はとくに影響を感じられなかったが山や峠を越えると土砂や巨大な倒木で通行不可能であったものが、時間を置いて再度来訪してみると整備が終わっているということもあり、大きな影響がなかったのが不幸中の幸いでした。

 

延期後の日程に既に予定があり、止む無くキャンセルとなった皆様にはご迷惑をおかけしてしまいました。ここであらためてお詫びを申し上げたいと思います。このような現地の状況を思うと、たかがイベントで未だ災害の爪痕が残る地を訪れる行為が正しいのか、延期という判断すら善かったのかいまだ逡巡があるのも事実です。できることとして、なるべく復旧作業の妨げにはならないようにいくつかのルートの手直しを行いました。この判断、この催行がせめて今後の地元振興の一助になればと願うばかりです。

度重なる災害に、今回のDOAも手痛い傷を負いました。自信を持って組み上げたルートもツギハギだらけになりました。しかしそれでも、本秋DOAのルートは八ヶ岳エリアの魅力を存分に味わえるものになっていると確信します。

いままで開催回数を数えることは敢えてしてきませんでしたが、こうして迎えた10回目のDoor of Adventure。扉はまもなく開きます。




 

 

 

 

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